介護保険が開始される当時、65歳以上の認知症をもっている方を対象にしてきたグループホームですが、近年では、介護度が重度化してきており、看取りを行うことが増えてきました。
ですが看取り=特別養護老人ホームだったことが変わってきていることをご存知でしょうか。
以前は、特別養護老人ホームは、高齢者の最後を迎える場所としていました。
そういう考えを持たれている家族も多いはずですが、少しずつご家族様の考えが変わってきたことが大きなことだと思います。
グループホームは家庭的な雰囲気をコンセプトにしているので、その家庭的を最後まで、おじいちゃん、おばあちゃんに味わってもらいたいと言った家族の心があると考えられます。
そのため、グループホームでは、そういった家族のニーズ(要望)を叶えていくことが求められてきます。
そのニーズに答えるために、グループホームとしてしっかりと準備しておくことが必要いなってきます。
目次
本人の意思を最小限を最大限に
支援を行うにあたって、まずは、本人の意思はどうか、家族はどのように考えているのかを理解する必要があります。
まずは、本人の意思を聞くこを一番に行います。
本人が意思を伝えることができない場合でも同じです。
家族、介護職員が本人の意思はどうかを考える必要があります。
その考え方によって今後の方向性が変化していきますので詳しく説明します
本人の意思を聞くために私達が行うこと
本人の意思を聞くためにすることは、まずその人の立場になって考えることです。
そんなことは当たり前と思われるかもしれませんが、意思を伝えることができない方
にとって私達介護職員がその人の意思をすくい上げることを何度も繰り返すことが
増えてきます。
本人が意思を伝えることができるのであれば、その意思に沿って支援をすればいいです
がそういった方ばかりではありません。
そのために、職員は本人はどういったことがしてほしいのかを考え実施することが求められます。
そして、家族へのアセスメントも必要になってきます。
アセスメントをするポイントは3つです。
・本人にとって大切な人は誰か。
・本人が好きなこと、きらいなこと
※趣味、昔していた習い事、きらいなもの
たったこの3つだけです。
それ以上聞いても私達介護職員は行えることはすくないですので、最低限を最大限に変えていくことを目的とする方法を取る必要があります。
なぜ最低限なのかというと大勢の職員がいる中で、統一できない量を増やしてその人にとっていいものができるかといった問題になります。
なんでもすればいいのではなく。本人が健やかに過ごせるようにする最低限を最大限に変え支援することが職員が統一しやすい環境にし、本人が穏やか生活を送れるように支援するためには必要なことだと思います。
本人にとっての思い出・場所を聞く
まずはじめに本人にとって大切な思い出・場所を聞くようにしましょう。
なぜ聞くのかと疑問に思うかもしれませんが、様々なことに応用することが
できることがポイントになります。
・場所を聞くことでその写真を貼ることができる
・場所を聞くことでその場所の話をすることができる。
・思い出を聞くことでその思い出について話をすることができる。
・思い出を聞くことで昔の思い出を思い出すことができる。
など様々な方法を取ることができるのです。
そこから職員が話を広げて話を本人に向けてすること大切になります。
本人にとって大切な人を聞く
本人にとって大切な人は違います。
家族、奥さん、友人など人それぞれで大切にしている人は変わってきます。
ですので、その人を聞くことで、その人との記憶や話をすることができるため
大切な人を聞くようにしましょう。
もし家族のことが嫌いな方に興味のない方の話をしても意味はないことはわかると思います。
好きだったこと・嫌いだったことを聞く
昔は釣りを楽しみにしていた。
昔はボーリングをすることが好きだった。
昔、犬に噛まれて犬がきらいになった。
など本人の好きだったこと、嫌いだったことを聞くことで、そこから職員が
話を広げる内容になります。
なぜ記憶の中の思い出、好き嫌い、大切な人を聞くのか
なぜ昔の話を聞いたり、本人のすきだったことを聞くのかと言うとその方にとって思い出しか行動することが難しいからになります。
場所によっては、看取りになった方の好きだった場所へ行くことができる施設がありますが、そういった場所ばかりではありません。
行けれないのであれば、職員がしっかりその思い出に対して本人にアプローチしていくことが看取り支援の一番大切なことになると考えます。
家族の意思
施設によっては、家族の意向のほうが重視する施設はありますが、施設において
家族の意向は無視することはできません。
家族がどういったことが希望されるのか、どういったことが本人のためにしたいのかを
アセスメントを行っていきます。
そのポイントはこちらは4つになります。
・家族として最後を迎えられるときにどのように寄り添いたいか
※施設で宿泊する。毎日側で話をしたいなど
・看取り後の対応方法について
・家族が感じる死への心づもりについて
この4点を意識してアセスメントをする必要があります。
長年連れ添ってきた方の看取りなので、家族の意向は本人の要望の次に大切に
なってきます。
家族はどのように本人に過ごしてもらいたいのか
まず、はじめに家族として、本人にどのように余生を過ごしてもらいたいかを
聞く必要があります。
今まで連れ添ってきてどのようなことが好きでどのようなことが嫌いだったかを
一番近くでみてきている家族の意向は大切な看取りの材料になります。
介護職員の中には、あたかも自分がその方を一番知っているように話をする
職員がいますが、勘違いはしないようにしてください。
家族として最後を迎えられるときにどのように寄り添いたいか
次に家族が、最後を迎えられるときにどのようにしたいかの確認をする必要が
あります。
最後を迎えれる前は、本人と最後の一時を過ごすために施設に宿泊したいのか
それとも、迎えられる前に、施設に来てもらうのか
なくなって職員に見守られながら最後を迎えられたいか
など様々あります。
絶対施設に泊まりたいという方ばかりではありません。
なぜならその方々にも日々の生活があります。
その生活の中を崩せれる方もいれば、仕事、そのほかの家族など
様々な理由で、側にいることができない方などいます。
最後を迎えられたあとに来られる方にも色々な理由があります。
介護職員はその方々の代わりに側で見守りさせていただく場合もあります。
それは、一人ひとり違いますので、来ることができないからと言って
その場面だけを切り取ってはダメであることは理解しましょう。
看取り後の対応方法について
看取り後の対応についてもしっかりと話し合いましょう。
家族としては目を離したい内容になることはわかると思います。
ですが、いざ迎えがこられたときにバタバタとしてしまい、家族の負担は大きい
ものになることを知っているでしょうか?
通夜・葬儀の場所、住職への連絡、親戚への連絡だけと思われるかもしれませんが、
通夜・葬儀の祭典だけで、どのプランにするのか、お返しは何にするかなど決めることは
いっぱいあります。
そして、住職との打ち合わせ、親戚にいつ通夜をするのか、葬儀はいつするのかなど
たった1日ですべて行わなければならないのです。
なので、施設として、看取り後のことをしっかりと話をしておくことで、
家族の負担を少しでも減らせるようにしましょう。
家族が感じる死への心づもりについて
忘れてはならないのが、家族が感じる死への心づもりになります。
大切な家族が一人いなくなることは、経験したことがある方はわかると思いますが
なにか心をどこかに落としてしまったような感覚になります。
ですが、施設として、できることには限りがあります。
できる内容としては、家族の話を聞く。聞いたことに対して同調する
たったこれだけしかありません。
葬儀などのお手伝いができるわけでもありません。
住職への連絡、家族への連絡ができるわけでもありません。
ですので、しっかりと家族の話を聞き、どういった気持ちなのかを察して、言葉を
かけていくようにしましょう。
施設での対応方法
施設での対応方法は、管理者、ケアマネジャー、介護職員が全員で話し合いをすること
から始まります。
看取りケアにおいて利用者の対応を統一することを目的としています。
ですので、ケアを統一するために、管理者、ケアマネジャー、介護職員全員で話し合いを行い、利用者にとって大切にしたいことを実現できるようにしていきます。
管理者の仕事内容
管理者が看取りケアを行うにあたって、どのような仕事内容があるかご存知でしょうか。
施設によって様々ではありますが、看取りが決まった時点で、ケアマネジャーとともに看取り会議の開催日程の調整を行います。
開催される前に、事前に情報を集めておく必要があります。
・ご利用者の家族の意思
・施設として行うること、行えないことの精査
・看取りケア加算の準備
・医師への協力と情報共有
以上を事前に行っておく必要があります。
事前に準備を行わなければ、会議の方向性を決めることができませんし、無駄な時間を費やしてしまうことがあるからです。
ですので、早い段階で事前準備を行うようにしましょう。
それでは、一つずつ説明していきます。
本人への意思の確認
本人の意思を聞き、最小限を最大限に行うことを目的としているので、まずは、本人の立場になって、本人が今まで、好きだったこと、好きだった場所、好きだった人をその人の立場になって考えておくことが大切になってきます。
詳しくは本人の意思を最小限を最大限を再度確認してみてください。
家族の意思を確認する
施設によっては、家族の意向のほうが重視する施設はありますが、施設において
家族の意向は無視することはできません。
家族がどういったことが希望されるのか、どういったことが本人のためにしたいのかを
アセスメントを行っていきます。
詳しくは家族の意思を再度確認してください。
施設として行えること、行えないことの精査
施設によって、どのような取り組みができるかは変わってきます。
・危篤状態になる前から、施設に宿泊できるかどうか
・家族の希望を本社に確認し、行うことができるのかを事前確認を行う。
看取り加算準備
看取り加算の準備と行っても、事前に認定をしてもらわなければならないのですが、
看取り加算があるか、ないのかも管理者は事前に知っておくようにしましょう。
なぜ、知る必要があるのかと言いますと、会社として、どのまで、看取りに対して力を入れているかを知る指標になるからです。
管理者は、金銭面も考えながら、ケアの方向性を決めていく必要があります。
特にグループホームは、企業が行っているので、金銭面に厳しい面が必ず出てきます。
本社の考え、企業としての考え、様々あると思いますので、どこまで行えるのかを管理者はしっかりと理解しておきましょう。
看取り加算の概要
看取り介護加算(Ⅰ)
看取り介護加算は、次の5つの条件を満たした場合に算定されます。
1. 常勤の看護師を1名以上配置し、当該指定介護老人福祉施設の看護職員により、又は病院若しくは診療所若しくは指定訪問看護ステーションの看護職員との連携により、24時間連絡できる体制を確保していること。
2. 看取りに関する指針を定め、入所の際に、入所者又はその家族等に当該指針の内容を説明し、同意を得ていること。
3. 医師、看護職員、介護職員、介護支援専門員その他の職種の者による協議のうえ、当該指定介護老人福祉施設における看取りの実績等を踏まえ、適宜、看取りに関する指針の見直しを行うこと。
4. 看取りに関する職員研修を行っていること。
5. 看取りを行う際に個室または静養室の利用が可能となるよう配慮すること。
死亡日以前4日以上30日以下:1日につき144単位
死亡の前日および前々日: 1日につき680単位
死亡日:1日につき1,280単位
看取り介護加算(Ⅱ)
看取り介護加算(Ⅰ)の要件を満たしたうえで、次の1~4の医療提供体制を整備し、さらに施設内で実際に看取った場合に算定されます。ただし、看取り介護加算(Ⅰ)を算定している場合は、算定されません。
1.入所者に対する緊急時の注意事項や病状等についての情報共有の方法及び曜日や時間帯ごとの医師との連絡方法や診察を依頼するタイミングなどについて、配置医師と施設の間で、具体的な取り決めがなされていること。
2.複数名の配置医師を置いていること、若しくは配置医師と協力医療機関の医師が連携し、施設の求めに応じて24時間対応できる体制を確保していること。
3.上記の内容につき、届出を行っていること。
4.看護体制加算(Ⅱ)を算定していること。
死亡日以前4日以上30日以下:1日につき144単位
死亡の前日および前々日: 1日につき780単位
死亡日:1日につき1,580単位
・医師への協力と情報共有
看取りを行う上で、医師との話し合いは必要になっていきます。
看取りかどうか判断するのも医師にしかできません。
ですので、医師との情報共有、どこまで協力してもらうことができるのかを再度確認するようししてください。
また、看取り加算でも
・配置医師と施設の間で、具体的な取り決めがなされていること。
・協力医療機関の医師が連携し、施設の求めに応じて24時間対応できる体制を確保していること
と記されているように具体的な取り決め、協力体制も必要になっています。
ケアマネジャーの仕事内容
ケアマネジャーも看取りケアを行うにあたってしなければならないことが出てきます。
管理者と開催日程を決めるまでは同じなのですが、次にアセスメント、ケアプランの作成をしなければなりません。
看取りケアにおいて、ケアマネジャーが作るケアプランこそ、介護職員のケアの統一に欠かせないものになってくるからです。
ですので、管理者が利用者、ご家族からアセスメントした内容をケアマネジャーがケアプランに繋げて行く必要があります。
そして、仮のケアプランを開催前に作成を行い、会議のときに、実際にケアを行う介護職員の意見を聞き、ケアプランを完成させる必要があります。
ですが、介護職員よりケアマネジャーのほうが、立場が上になっている施設では、ケアマネジャーがすべてのケアプランを作成して完成までしてしまうケースがありますが、チームケアを行うにあたっては、ケアマネジャーだけが作るブランだけでは不十分な場合があるので、全員が納得行くケアプランを作成をすることが大切になります。
介護職員の仕事
介護職員が一番利用者との関わりを持つ、携わることになります。
ですので、少しの変化、少しの違和感があれば、都度管理者へ報告を行ってもらうようにしましょう。
介護職員の内容として、
・小さな異変も随時報告を行う
・ケアプランに忠実に行う
グループホームでの看取りの必要性は高まり必須になる
今までは、特別養護老人ホームでの看取りをイメージしてきた方が多いと思います。
ですが、これからは、グループホームでもますます必須になっていきます。
そのため、高齢者の最期に寄り添うためには、高いスキルがどんどん求められてくることになると思います。
介護職員にしかできないこと、ケアマネジャーにしかできないこと、管理者にしかできないことが今以上にでてくると思います。
そのために、普段から、情報をかき集める、研修、勉強会、オンライン研修に参加するなどして、看取りケアに関する知識を知り、スキルアップをしていき、努力をしていきましょう。
また、専門性を高めるために終末期ケア専門士などの資格もあるので、チェックしておくことも大切だと思います。
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